初恋のうたを、キミにあげる。


生活指導の先生ってほとんど関わったことがないけれど、よく校門前で怖い顔をして立っているのを見かける。

背が高くて、鍛えられた体格で強面。

リュウくんなんか生活指導の先生がいると慌ててネクタイを上まで締めている。運動部には特に厳しいんだとか。




「お前はそんな格好してるから目つけられんだろ」

「はー? 慎ちゃんだって態度悪いから目つけられてんでしょ!」

「俺のはお前らのとばっちりだから」


確かに森井くんたちは目立つし、生活指導の先生が目を光らせていそう。それに先生ともめているのを前に見たことがある。



「小宮さん、なにか買うの?」

お財布を握りしめている私に赤茶色の髪の男子が声をかけてきた。


「あ、えっと……」

「てか、俺の名前もしかしてわかんない?」

嘘をつくわけにもいかないので、申し訳ないけれど素直に頷くと、彼は嫌な顔を一切せずにニッと歯を見せて笑った。






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