初恋のうたを、キミにあげる。
「大城。みんなからは、大城とかおーちゃんとか言われてるんだ。よろしく」
「よ、よろしく!」
伸ばされた手をまじまじと見つめる。これは握手をするということなのかな。
きちんとコミュニケーションを取るために手を伸ばそうとすると、直前で真横から入ってきた手に阻まれた。
「えっ」
「大城、近い」
私の手を覆うように森井くんの手が重なっている。
触れられている手が熱い。まるで心臓がそこに移動してしまったかのようにどっくんどっくんと鳴っているように思えてくる。
「お近づきの印に握手くらいいいじゃん」
「お前の感覚と一緒にすんな。小宮さん困るだろ」
「えー、厳しいなー」
男の子の手ってこんなに大きいんだ。
リュウくんの手を意識してみたことがないから、こんなに差があると思わなかった。
体温も私より高い。
ああ、どうしよう。緊張して手汗かいてきちゃった。
けど、突然離すのも失礼かな。
こんな風に男の子の手と触れるのなんて初めてでどきどきして心臓が持ちそうにない。