初恋のうたを、キミにあげる。
森井くんの言葉は魔法みたい。躊躇していた私に勇気を与えてくれる。
それに木崎さんも大城くんもいい人だった。話せたから知れたことがたくさんある。森井くんのおかげだ。
枕元に置いていた携帯電話が振動した。慌てて起き上がり、画面を確認する。
メッセージの送り主は待ちわびていた森井くんだった。
『俺、なんかしたっけ?』
森井くんらしい返答に少し笑ってしまう。
『木崎さんたちと話せたこととか、購買に行けたこととかいろいろです!』
きっと彼にとっては〝してあげている〟という感覚はないのだと思う。
中学生の頃に修学旅行のグループ分けをするとき、親切に声をかけてくれる女の子がいた。
泊まる部屋も一緒になってくれて、一人あぶれずに済んだ。
けれど、彼女は私が一人になるから誘ってあげているのだと、友達に話しているのを聞いてしまった。
その瞬間、胸がずきりと痛んで涙が出そうになった。
誘ってくれたことは嬉しかった。
けれど、「どうせあの子一人で可哀想でしょ。だから誘ってあげてるんだ」と笑われていたことは苦しかった。