初恋のうたを、キミにあげる。


***



今日は三階の踊り場で舞花ちゃんとリュウくんとお弁当を食べることになった。


リュウくんは基本的に友達と食べているので、一緒に食べるのは珍しい。どうしたんだろう。


お弁当を食べ終わり、お茶を一口飲んだところで、舞花ちゃんが「あのさ」と声のトーンを少し落として話を切り出した。


「星夏、最近森井たちのグループと一緒にいるって本当?」

「えっ」

「私のクラスの子が前に購買でなにか買わされていたとか、絡まれてるって言ってたんだよね」

購買でなにかを買わされていたことなんてない。オレンジジュースだって自分が飲みたくて買った。

絡まれているって、話しかけてくれているだけだ。

話すのが下手な私に話題を振ってくれて、返答が遅くても待ってくれる。

それなのに舞花ちゃんの話だとみんなが悪者みたいだ。




「ち、違うよ!」

「本当に? 脅されてたりしていない?」

「そんなことされてないよ!」

いやだ。誤解されたくない。森井くんも木崎さんも、大城くんもすごく優しい。


話していて楽しいし、他にも彼らと仲がいい人たちとも少しだけ会話をしたけれど、みんな明るくていやな人たちじゃなかった。



「舞花―、お前さ星夏の言ってること信じてやれって言ってんじゃん。森井たちって別に悪いやつらじゃねぇし、星夏のこと脅しているようには見えねぇよ」

「でも私は星夏が心配なの」

「過保護だなー」

「うるさいわね」





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