初恋のうたを、キミにあげる。
「ごめん。そうだね。私、先に戻るわ」
「ぁっ」
謝ろうとして口を開きかけたところで、舞花ちゃんが立ち上がってお弁当を抱えて去って行ってしまう。
「しばらく放っておきなよ。あいつも星夏離れしたほうがいいんだって」
リュウくんはいつもと変わらない様子だったので、それだけは救いだった。
「私……酷いこと言っちゃった」
「いや、別にそんなことないって。舞花が心配性で口出し過ぎなだけ。一緒にいたい相手は星夏が決めればいいと思うよ、俺は」
「……うん」
一緒にいたい相手、か。
その中には森井くんや木崎さんたちがいて、もちろん舞花ちゃんやリュウくんもいる。
みんな私にとって大切な存在で、感謝することがたくさんある。
それなのに上手く伝えられないでいることが歯がゆくて苦しい。