初恋のうたを、キミにあげる。


***



説明書を読みながらなんとか、髪の毛に塗るところまでいけた。

ボトルの中にチューブに入ったものを入れて混ぜたり、透明な手袋をしたり、まるでなにかの実験でもしている気分。



みんなこうやって家で髪の毛を染めたりしているんだ。ちょっと楽しいな。どんな風に仕上がるんだろう。



説明書通りに髪の毛をすすぎ、ドライヤーで乾かしていく。


完全に乾き終えて鏡に映った自分を見た瞬間、思わずドライヤーを落としそうになった。


想像以上に髪の毛の色は明るくなっていて、血の気が引いていく。


森井くんくらいの色がよかったのに染めまりすぎてしまったのか金に近い色になってしまっている。



どうしよう。

この色じゃ学校にも行けないし、お母さんに見られてしまったらなんて言われるかわからない。こういうとき、どうしたらいいんだろう。元に戻す方法なんてあるのだろうか。



とりあえず染めた形跡を消すようにビニール袋に纏めてゴミ袋の奥へと隠すように捨てる。






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