初恋のうたを、キミにあげる。
染めた後すぐに変えられるものなのかな。
ネット……ネットで調べればわかるかもしれない。
慌ててリビングへ戻ったところで、足がもつれてフローリングの上に転げる。
「い、た……っ」
膝を思いっきり打ってしまって、ずきずきと痛んだ。
ふと見上げたソファの上に携帯電話を見つけて、すがるように手に取る。
考える間もなく、気づいたときには電話のコールボタンを押してしまっていた。
お願い。……お願い出て。
三コール目が鳴った直後、相手の声が聞こえた。
「どうかした?」
焦っていた私の心を落ち着かせてくれる優しい声音。けれど、一言告げるのが精一杯だった。
「たす、けて」
「は? 助けてって……」
説明するにもどう話したらいいのかわからない。
切羽詰まっている私に森井くんが少し困惑した様子で「どうした? なにがあった? 今どこ?」と質問攻めをしてきた。