初恋のうたを、キミにあげる。
「い、家……です」
「最寄同じだったよな。家って立川駅の近く?」
「えっと……うん。モノレールの方」
そういえば、前に初めて委員会に出たときに一緒に帰ったんだ。
最寄はお互い立川で、私がモノレール沿いの方面で森井くんはJRの方向だった。
「じゃあ、モノレールの立川南駅あたりまで来れる?」
「う、うん」
「俺も急いで行くから、話はそれからで」
電話が切れた後、私は慌てて着替えた。
大きめなパーカーを着て、フードを頭からかぶり、髪の毛を隠す。
さすがにこの髪の毛で近所は歩けない。
見られてしまったら、お母さんや舞花ちゃんたちの耳に入るかもしれない。
染めたいって思って、やってみたのはいいものの想像とは違っていた。
挑戦できた自分には驚きだけど、なんでも成功するわけじゃない。こうして想像とは違う出来事が起こってしまった。
いつも森井くんに迷惑をかけてしまっていて、申し訳ない気持ちがこみ上げてくる。
————でも、一番に顔が思い浮かんだのは森井くんだったんだ。