初恋のうたを、キミにあげる。
立川南駅に着くと、制服姿の森井くんを見つけた。
なぜかドキリとしてしまって、心臓あたりに手を押し当てる。
この髪を見られるのが怖いから緊張しているのかもしれない。
「も、森井くん」
意を決して声をかけると、森井くんが不思議そうに「もしかして小宮さん?」と聞いてきた。
「なんでフードなんてかぶってんの」
「あ、あの、えっと……髪が」
「は? 髪?」
口で説明するよりも見せてしまった方が早いかもしれない。
そっとパーカーを下ろす。染めたばかりの慣れない髪色がふわりと頬をかすめた。
「……は? え、髪……」
森井くんの目がこれでもかってほど見開かれている。
「思った色と違っていて、明るくなっちゃって」と必死に説明するものの、森井くんは微動だにしない。