初恋のうたを、キミにあげる。



お風呂場を借りて髪を洗い流していく。

これで元に戻るんだ。森井くんがいてくれてよかった。私ひとりだったらあのまま取り乱して、どうなっていたかわからなかった。

カラー剤の匂い身体にも強く残っているような気がして、ボディーソープをプッシュする。勝手にもらってしまってごめんなさいと心の中で謝罪して、洗っていく。


タオルを借りて、着替える。洗面台の鏡に映った自分の姿を見て、気恥ずかしくなってくる。


再び森井くんの待つリビングへと足を踏み入れると、森井くんは片手で携帯電話をいじりながらちらりとこちらを見上げた。


「なに突っ立ってんの」

「えっと……ドライヤーお借りしてもいい?」


濡れた髪が肌に張り付く。

前髪をサイドにぴったりとくっつけているため、いつもよりも額が見えてしまっていて早く隠したい。


「俺がやるよ」


視線が交わって、数秒。

目を合わせたときのことを思い出して、どきどきと鼓動が高鳴っていく。



「おいで」

ソファにどっしりと座っている森井くんが優しげに微笑んで手招きをした。

言われるがまま足を動かして森井くんの元へと行くと、先ほどと同じ場所に座らせられる。



「あ、あの」

「乾かすからじっとしてて」

「はい」

温風が髪に当てられて、心地よい感覚に浸る。

誰かに髪の毛を触ってもらうのって気持ちいいな。






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