初恋のうたを、キミにあげる。


心臓を掴むという意味がわからず、緊張で脳も正常に働かない。


「えっと……そんな怖いことしてないよ?」

「そうだな、うん」

森井くんが離れていくのがわかり、肩に入れていた力がすっと抜けていく。

き、緊張した。森井くんって案外人懐っこいのかな?



「なあ」

「へ……っ!?」

後ろから声をかけられて振り向くと思ったよりも森井くんの顔が近くにあって、私の頬に柔らかいなにかが当たった。

頭の中が真っ白になる。



「っ、ちょ」

「あ、えっ」

今、頬に当たったのってなに?

温かくて、柔らかくて……えっと、なに?




「ごめん」

その言葉に身をよじるようにして後ろを見ると、森井くんは俯いていいた。


どんな表情をしているのかはわからないけれど、耳が真っ赤になっているのがわかる。





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