人形屋
(なんで、私の名前を?)
「クスッ、本題の前に自己紹介するわね。僕は『ローラ・カルロ』。ローラでかまわないわ」
「はぁ、ぁ、私は『春川…」
「愛チャンでしょう?」
(また…)
女の子。ローラは、先ほど置いた紅茶を一口飲む。
愛も一口飲もうとティーカップを口に近づけた。
その時、
「…愛チャン。言いたいことあるのなら、言っちゃってかまわないから」
(ドキッ)
「な、何もないデ、ス」
(見透かされてる?)
愛はおどおどしつつ紅茶を飲んだ。
「!!熱っ」
カチャン
愛は紅茶のあまりの熱さに吃驚してしまい、ティーカップを床に落とし、割ってしまった。
「ぁ、す,すいません!!」
「別に平気よ。熱いのを注意しなかった僕も悪いんだから」
愛はニコニコ笑っているローラに少し苦笑しつつ、割れたティーカップの破片を拾おうと、破片に手を伸ばす。
パシッ
伸ばした手は小さな手によりはじかれた。