黄色い履歴書
リリリリーンッ
   リリリリーンッ



『砥祈ちゃんっ!あんたは上がって!』



ここに来てから1時間

まだ何もわからない中で言われた一言


『幼稚園から電話があってね…』




バタンッ!!




シキは着替えもせず
店を飛び出し
無我夢中で自転車をこぎ続けた


何があったかは聞かなかったが

とてつもなく大きな不安
嫌な予感がしたんだ

幼稚園までの道のりは
音がなくゆっくり流れる映像を見ているような
そんな感覚だった

だからますます
急がなきゃいけない気がしたんだ


早く


この空が雲で覆われてしまう前に


太陽の光を見たい




「男の人のところ」


「ママ…」


「お姉ちゃん!」


「なんで泣いてるの?」









全部




忘れなくてよかった




よかった
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