黄色い履歴書
砥祈はみさきを見てなぜか自分の中の寂しさを思い出した

看護師はシキを完全に家族だと勘違いしていた

それもそうだろう

こんな小さな子が入院して見舞いにくるどころか
連絡もよこさない親など…

“ここにいるか”


世の中そう甘くはない

そう悟ったかのように
タケルは呆然とその子の姿を見つめていた


あんなに広い世界で
こんなにも近くに
自分と同じ人間が存在する

同情なんてしない
この子は愛を知らないの?


タケルは寝ているみさきに
声にならない声で

『ありがとう』

そういってあの歌を歌い出した


『カランカラン~カランカラン~』
~~~~~~~~~~~~~

小さな小さな男の子~

ママの中の男の子~

ふんわりやんわり暖かい~

早く見たいなママの顔~

早く見たいなきれいな光~

でもねでもね不思議さん~

出てもママが見つからない~

きれいなお日様笑ってる~

お日様だけが笑ってる~

だからボクも笑うんだ~


ボクが笑うと喜ぶよ~

ママがどこかで喜ぶよ~

わははわははって笑うんだ~

でっかい声で笑うんだ~

地球全部に聞こえるよ~

ママにもきっと聞こえるよ~

そしたらママも笑うんだ~
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