車椅子バスケ~希望の架け橋~(翼ver.に変更)

あまりのショックで部屋に戻ると
俺は、日向兄ちゃんに電話した。

日向兄ちゃんなら……俺の今の気持ちを
理解してくれると思ったからだ。

『そうか……また学校に行けるなら
良かったではないか?』

「でもさ……複雑なんだよ。
千花とは、離れ離れだし……後輩だし
そうなれば、皆と……」

もっと距離が出来てしまう。
1年の留年なんて……カッコ悪いし
皆より出遅れる。

『お前の気持ちは、分かる。
俺も1年大学を留年しているからな。事故で』

「えっ?マジかよ!?」

いや、普通に考えれば日向兄ちゃんの方が
酷いのだから当然だろうけど。

『俺だけではない。松岡もそうだ。
だが1年だろうが社会に出たら関係ない。
必要なのは、使える人間だ。
障害があるか無いかなんて関係なく
会社に必要とされるのは、努力をして
積み上げた実績と経験。
一歩出遅れたのなら、社会に出てから
巻き返せばいい」

「それに対して馬鹿にしてきた奴らは、
出世して見返せばいい……。
俺は、それで課長まで乗し上がった。
今は、着々と部長の座を狙っているけどな』

フフっと笑う日向兄ちゃんは、怖かったが
その言葉を聞いて勇気が出てきた。

そうか……まだ巻き返せるんだ。

勝手に無理だと決めつけていた。
まだ、チャンスがある。

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