車椅子バスケ~希望の架け橋~(翼ver.に変更)
「フフッ……味は、食べたからだよ。
でも視覚障がい者は、目が見えない分
耳や嗅覚が発達するんだ!
繊細な音や嗅覚を感じて状況を聞き分ける。
そうではないと何も出来ないからね!」
ニコニコしながら教えてくれた。
そうなんだ……。
視覚障害の人は、耳がいいと聞いたことがあるが
確かにそうではないと状況が分かりにくい。
「あの……松岡選手は、
障害受容したことがあるんですか?」
俺は、気になる事を質問してみた。
「僕?僕は……そうだな。
障害受容よりも障害になって
気づかされたことが多かったかな?」
そう言ってきた。
「どういうことですか?」
すると松岡選手は、味噌汁が入ったお椀を
テーブルに静かに置くと
「僕はね。目が見えた頃は、人に興味が
無かったんだ。
去ろうが近寄って来ようが、興味がないから
何とも思わないし、誰も頼ろうともしなかった。
まぁ、必要な程度には、付き合うけど」
「でも、目の病気になって失明したら
ガラリと状況が変わった。
人に頼らないといけなくなり
相手の声や心情に耳を傾けるようになった。
周りの優しさや想いに気づかされたんだ!」
静かに語り出した。