0.0000034%の奇跡



引っ越しも終えて穏やかな日々が始まる。


「ねぇ、智くん……襲っちゃっていい?」


もとい、穏やか…ではない。
リビングで寛いでいたら自宅で仕事を終えた彼女にそう言われた。


「あれ?もしかして芹…ものすごーく疲れてる?ストレス溜まっちゃってるのかな〜?」


うわ、目が据わっちゃってるよ。
最近帰って来てからも勉強やら仕事の延長線等で忙しかったせいもあり、睡眠もあまり取れていなかった。
かなり疲れているはずだけど、こんな時彼女は僕を襲ってくる。


「それより寝た方が…っ!」


寝た方がいいって言う前に唇を奪われソファーに乗りかかってくる。
極限状態にまで陥るといつもより数倍激しい。
受け止めるのに必死でシャツのボタンを外されていた事に気付けず、ついに押し倒される。


初めてじゃないから慣れてはいるつもりだが、結構マジな状態で襲われるのも悪くはない。
けど意地悪な僕は「待った」をかける。





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