0.0000034%の奇跡
彼女を見たまま固まる僕。
そう…だよね?
だって薬の袋にレディースクリニックって書いてるもん。
絶対そうだと思った……
え……本当に?
「心音……確認出来たって……それはつまり、妊娠してるって事?」
「もう少し待とうと思ったんだけどつわりらしきものが始まっちゃって行って来ました」とまだぺったんこなお腹をさすりながら言った。
ヤバ……僕が泣きそう……
「智くんが泣かないでよ…」
そう言う彼女の声も震えてる。
「やったー!」って喜びを叫びたいのに自然に溢れる涙。
その細く華奢な体の中に、確かに小さな命が宿ってるんだと思ったらポタポタとこぼれ落ちるほど泣いてしまっている。
「泣いてるけどめちゃくちゃ嬉しいから」
なんてことない毎日が過ぎていく中で、意識をしていないわけじゃなかった。
ちゃんと思い当たる節はあったから。
でも面と向かって言われるのは、どんなに覚悟していても格別に嬉しいもんなんだな。