0.0000034%の奇跡



僕にとっても初めての経験。
それはそれは神秘的で鳥肌が立つほどで。
思わず「うわぁ…」と口が開いた。


お腹の上から見るエコー検査。
まだまだ小さいけど動いてる。
頭や足の説明を受けてまた涙ぐむ。
数cmしかない小さな命が、これでもかと一生懸命生きている姿は間違いなく僕に大きな衝撃を与えた。


「ずっと見てたいね」


終わった後に僕がそう言うと、君も少し涙ぐんでたね。
何があってもこの2人を守るんだと自分を奮い立たせる。
次の検診までその想いが糧となるんだ。


お腹に向かって話しかけたりってどこか恥ずかしさもあったけど、いざ自分がその立場になるとどんどんやっちゃう。
少しずつ大きくなるお腹に無性の愛。


「智くん、もう親バカだね」って笑わないでよ。
嬉しいんだよ!
早く会いたくて仕方ない。


「ごめんね、構ってあげれなくて」


まるで飼い犬のようにソファーに座る君の足元でお腹を見つめている僕の髪に触れながら言ってきた。





< 138 / 175 >

この作品をシェア

pagetop