0.0000034%の奇跡
「そろそろ始めましょうか」と色とりどりの風船が散りばめられたフォトスタジオ。
お腹だけ見える白のマタニティドレスに身を包み、髪には同じ白の花飾り、グレージュカラーのゆるふわウェーブの君は本当に女神のようだった。
僕がひざまつき、お腹に手を添えて見つめ合うショット。
彼女が座り、寝転ぶ僕がお腹を指差すショット。
後ろからハグして2人でお腹に手を添えるショット。
僕が赤い口紅でお腹にハートのペイントをしているショット。
お腹に手を添えながら額をつけて見つめ合うショット。
どのシーンも見惚れるほどキレイで、何度も惚れ直す。
お忍びで来たからスタッフたちもびっくりしてたけど、普通こんなに居るのかな?ってくらい見学者が居る。
やっぱり彼女だから…なのか?
2人の撮影が終わり、次は彼女一人の撮影に入る。
気分が高潮してきた彼女に皆がひっそり息を呑む。
え?嘘でしょ!?
それ、見えちゃうんじゃない?
もしかして、マタニティヌード?
き、聞いてないんですけど……
少し証明も落ちて、モノクロの写真撮影に変わる。
シースルーの生地を胸に纏い手で抑えながら立っている。
さっきまで着ていたドレスとは違い、お腹から下も透けてる……
下着だけだよね?
シースルーの生地は後ろに伸びて風で揺れていた。
俯く横顔のシルエット。
コントラストで上手くお腹はわかるように撮ってくれている。
なんて神秘的なんだろう。