0.0000034%の奇跡
お、今日は紺色のスクラブだ。
そっちも似合ってる。
仕切りだけの空間だけどちょっとばかし二人きりに。
一生懸命説明してくれるのをニヤけながら見てしまう。
「わかりましたか?」とマスクを着けてる。
仕事モードも可愛いなぁ。
デレデレしてる僕に「?」な彼女。
施術が始まる前にこっそり言ってみた。
「先生、僕、昇格しました」
「え?昇格?」
「はい、ディレクターに」
一瞬固まったかと思えば我を忘れて喜んでくれた。
「やった!やったじゃん!おめでとう!」
せ、芹っ!声が大きいよ!
ほら、皆が見てる……
完全に注目の的だよ……
僕も後で言えば良かった、
と反省しても時すでに遅し。
しまった、とマスクの上から口を押さえる彼女も顔が真っ赤だ。