0.0000034%の奇跡
「浮気、しないでね」
「バカ、するわけないだろ」
まだ何か言いたげな目。
「芹…?」と名前を呼んでも表情ひとつ変わらなくて……無表情でポツリ……
「行きたくないな……」
珍しく弱音を吐いたから少し驚いた。
仕事に関しては自分に厳しくて、常に向上心に溢れていたのに。
大好きな仕事だと言っていたのに。
これは単なる甘えなのか……?
それとも……
「でも、大事な学会なんでしょ?」
「うん…日本では結構大きな学会かな」
「いつでもやってるわけじゃないよね?」
「年に1回……まぁ、興味がある人は行けばいい感じ」
「興味ないの?」
「今回はインプラントの学会だから行くべし…的な?」
「じゃあ行って来なよ!ずっとインプラントの勉強してたじゃん!」
僕だって心から応援してる。
彼女が何で渋っているのかすぐに理解出来なかった。
でも行くんだよね?
その話から始まったし、大丈夫だよな?