0.0000034%の奇跡



澄み渡るような歌声。
時に優しく、時に力強く、
裏声も、ハスキーボイスも全部、
此処に居る人たちを巻き込んで聴かせてる。
僕の近くで聴いていた女性は「え、泣きそう」と言っていた。


彼女が初めての路上ライブで歌った曲は、僕たちを結びつけてくれたあの曲。
また僕はその声に引き寄せられ、君に恋をする。


いつの間にか彼女の前には人だかりが。





僕の大好きな大切な歌。
「歌うたいのバラッド」
あの時よりも心に沁みるのは何故だろう。
人だかりの後ろで背伸びしながら動画に収めた。
最後のサビでは彼女も感極まり声が震えていたかのように見えた。


気付いてもらおうとその場で飛び跳ねてみる。
両手を振って「おーい」とアピールしたらバチッと目が合った。
やっと見つけた。
やっと会えた。






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