ぎゅっと、隣で……
神社の祭りの打ち合わせの日がやって来た。
まさか煙火部だとは思っておらず、一気に緊張が増す。
入り口で数人の女の子と一緒になり、皆に紛れるように会場に入った。
皆の影から、ゆっくりと顔をあげると……
えっ!
一瞬心臓が壊れたかと思うほど、ドキンと大きな音を立てた。
南朋の目の先に、離れた場所に座る優一の姿があった。
隣に住みなながら、優一とは顔を合わせる事がない。
久しぶりに見る優一は、背も高くTシャツの上からでも逞しい腕が分かる。
南朋は優一の側に行きたかったが、幼い頃から逢っていない優一に声を掛ける勇気などあるはずもない。
優一の事に気を取られているうちに、何時の間にか宴会も盛り上がり始めていた。
南朋は、愛想笑いをし、周りの話に合わせて肯く事にした。
「名前なんて言うの?」
一人の男が南朋の横に座り声を掛けて来た。
背も高く、はっきりとした顔がニコリと笑った。
「崎宮です」
「違う、違う下の名前?」
「ああ、南朋です」
「俺は、岸谷秀二(きしたにしゅうじ)。じゃあ南朋ちゃんどうぞ」
とビールの瓶を指し出した。
「もう、飲めないですよ」
南朋は仕方なく減っていないビールの入ったコップを出した。
「じゃあ、ウーロン茶でいい?」
「えっ。はい」
南朋は、お酌に回ってくる男達を断れずに無理してビールを飲んでいた。
ウーロン茶と言われ思わずホッとため息が漏れた。
差し出されたグラスに入ったウーロン茶を一気に飲み干してしまった。
秀二は笑って、無理して飲まなくていいよと、お酌に回ってくる男達を上手く断ってくれた。
本当に有難いと思うのだが、緊張しているのか笑顔はつい愛想笑いとなってしまう。
やはり気になり、チラリと優一を見るが目すら合わない……
そのうち、話しかけてこない優一に、南朋は自分の事など覚えていないのだと思うと、何故か無念の奥が切なくなってきた。
自分が、誰にでも話しかけられる明るい性格だったら、こんな事で苦しまなくて済むのにと、自分が益々嫌になっていく。
途切れなく話しかけてくる秀二に、ただただ愛想笑いをして、その日は終わってしまった。
まさか煙火部だとは思っておらず、一気に緊張が増す。
入り口で数人の女の子と一緒になり、皆に紛れるように会場に入った。
皆の影から、ゆっくりと顔をあげると……
えっ!
一瞬心臓が壊れたかと思うほど、ドキンと大きな音を立てた。
南朋の目の先に、離れた場所に座る優一の姿があった。
隣に住みなながら、優一とは顔を合わせる事がない。
久しぶりに見る優一は、背も高くTシャツの上からでも逞しい腕が分かる。
南朋は優一の側に行きたかったが、幼い頃から逢っていない優一に声を掛ける勇気などあるはずもない。
優一の事に気を取られているうちに、何時の間にか宴会も盛り上がり始めていた。
南朋は、愛想笑いをし、周りの話に合わせて肯く事にした。
「名前なんて言うの?」
一人の男が南朋の横に座り声を掛けて来た。
背も高く、はっきりとした顔がニコリと笑った。
「崎宮です」
「違う、違う下の名前?」
「ああ、南朋です」
「俺は、岸谷秀二(きしたにしゅうじ)。じゃあ南朋ちゃんどうぞ」
とビールの瓶を指し出した。
「もう、飲めないですよ」
南朋は仕方なく減っていないビールの入ったコップを出した。
「じゃあ、ウーロン茶でいい?」
「えっ。はい」
南朋は、お酌に回ってくる男達を断れずに無理してビールを飲んでいた。
ウーロン茶と言われ思わずホッとため息が漏れた。
差し出されたグラスに入ったウーロン茶を一気に飲み干してしまった。
秀二は笑って、無理して飲まなくていいよと、お酌に回ってくる男達を上手く断ってくれた。
本当に有難いと思うのだが、緊張しているのか笑顔はつい愛想笑いとなってしまう。
やはり気になり、チラリと優一を見るが目すら合わない……
そのうち、話しかけてこない優一に、南朋は自分の事など覚えていないのだと思うと、何故か無念の奥が切なくなってきた。
自分が、誰にでも話しかけられる明るい性格だったら、こんな事で苦しまなくて済むのにと、自分が益々嫌になっていく。
途切れなく話しかけてくる秀二に、ただただ愛想笑いをして、その日は終わってしまった。