ぎゅっと、隣で…… 
「消えようと思ったのに…… 忘れようと思ったのに……」

 南朋は震える声で言った。


「ごめんな…… 辛い思いさせて…… これからは絶対守ってやるから…… 消えるなんて言うな……」

 優一は力強く南朋を抱きしめた。



「優一兄ちゃん……」



「南朋…… 好きだ……」


 優一はそっと南朋の頬に手を当てた…… 


 南朋は優一の腕に震える手を乗せた。


「もう、他の女の人と腕組まないで……  もう、絶対嫌だよ……」


 南朋は泣きながら優一の腕にしがみ付いた。


 南朋が、精一杯自分の気持をぶつけて来ているのだと思うと、優一は、しがみ付く南朋が愛おしくてたまらなくなる……



「解っている…… 南朋だけだから…… 南朋の事も誰にも触れさせないからな……」


 優一はしがみ付く南朋の顎を上げ唇を重ねた。



 優一の手は優しく南朋の頬を撫でながら、何度も唇を重ねた……
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