ぎゅっと、隣で…… 
ここでは皆が給食当番だ……

婆ちゃん達も準備を手伝いはじめる。

年の功と言うのか、婆ちゃん達は生徒達を焦らせる事なく、気長に見守ってくれている。

優一は、宅幼老所だと笑うが、南朋はこの空気が好きだ……



「ねえ、お婆ちゃん。このお餅、草が入っているの?」

結奈が草餅を頬張りながら言った。


「そうだよ。ヨモギって言う草が入っているんだよ」


「美味しいね…… 私も作って見たいな」

結奈がニコリとして言った。


優一の眉がピクリと動いた。


「結奈ちゃん、草餅作ろうか?」

優一が言った。



「うん」

結奈は元気に肯いた。



「給食済んだら婆ちゃん達と一緒に、ヨモギ取りに行こう?」

優一が結奈の様子を伺うように見た。



「いく!」

結奈は嬉しそうに、草餅を頬張った。




南朋が片付けの為に流し台へ向かうと、優一がさりげなく後を着いて来た。


「ヨモギ取りながら、学校の方へ行ってみるよ」

 優一が南朋の耳元で囁いた。

 
 南朋は優一の目を見て、大きく肯いた。
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