ぎゅっと、隣で…… 
結奈のかけっこの順番になる。

『ようい、ドン』の合図に結奈が走り出した。



「えっ!」

優一は思わず声を出してしまった。

 結奈は周りの子を一瞬にして追い越し、だんとつ一位でゴールした。


 周りの子供達からも拍手が上がった。


 結奈は、膝に手を付き「はあ、はあ」と息を切らしていたが、こちらに向けた顏は気持ちよさそうな表情をしていた。

 優一は、結奈に向けてガッツポーズをした。



「南朋によく似た子だと思っていたけど、ちょっと違うみたいだな……」

 優一がぼそっと口にした。



「南朋は、足遅かったでねぇ」

 婆ちゃんもぼそっと言った。



「今でも、運動神経無いですからね」

 優一は、顏を緩ませた。



「子供は皆それぞれ違うで…… 皆一緒は無理な事もあるんだでぇ」

 婆ちゃんが目を細めて言った。


 婆ちゃん達と優一の視線の先に、槙野が結奈と何やら話をしながら戻ってくる姿があった。



「凄いね。足早いんだね」

 優一の言葉に、結奈は照れたように下を向いた、



「結奈ちゃん、明日は二時間目に障害物競争の練習があるんだよ」

 槙野は優しくほほ笑むと、優一に目で合図した。

 優一も肯いた。


 槙野は軽く頭を下げると、校庭へと戻って行った。
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