ぎゅっと、隣で……
南朋は週末、少し憂鬱な足取りで優一と実家に向かった。
優一が、南朋の肩を優しく叩いた。
大丈夫だと優一からの合図だと分かり少しほっとする。
母は愛想よい笑顔で優一を迎えてくれたが、南朋は母親の笑顔に緊張感が走った。
又、仕事の事、家事の事をちゃんと出来ているのか? と愚痴ぐちと言われるような気がしていた。
なるべく機嫌を損ねたくない……
そんな思いを胸に、母が夕食の準備をしているキッチンへと向かった。
「何、手伝えばいい?」
南朋は、食材が豊富に並べられたテーブルを見渡した。
「それにしても、材料多くない?」
「優一さんのお父様達もお呼びしてあるから……」
「えっ。そうなの?」
南朋は少し驚いた。
南朋は実家への足が重く、隣の優一の実家にだけ行くのも気が引けて、優一の両親とも顔を合わす事が少なかった。
その事を母が感じているのかは分からなかったが、南朋の気持ちは少し沈んだ。
すると、母が口を開いた。
「じゃがいもあるから、ポテトサラダ作ってくれない? この間の美味しかたわ……」
母は忙しそうに手を止めずに言いった。