ぎゅっと、隣で……
「仕事も忙しいでしょうに、家事も頑張っているのね……」
「まあね…… 一応主婦ですから……」
南朋は、平然と言ったが、目の内が熱くなって慌てて指で目を抑えた。
こんな、母のたった一言が嬉しいと思うなんて思いもせず、なんだか不思議な安心感に南朋は包まれた。
「ロールキャベツ、美味しかった……」
南朋は涙声がばれないよう、小さな声で言った。
「何十年も作っているんだから当たり前でしょ……」
母の言葉は素っ気ないが、嬉しそうな声だと思った。
「また、作ってよ」
南朋も、なぜか自然とそんな言葉が出てしまった。
「沢山作ったら、お婆ちゃんに届けてもらうわね……」
「たまには、お母さん届けてよ。お茶くらい入れるわよ……」
「そうね……、そのうちにね……」
母の声は微かに涙で枯れていた……
じゃがいもの皮剥く南朋の姿を、母はふと何か気になるように見た。
「南朋、あなた……」
「なに?」
「いいえ。何でも無いわ……」
母が言葉を呑んだ。
南朋は、母の言いたい事が分かった気がしたが、母も南朋もそれ以上何も言わなかった。
「まあね…… 一応主婦ですから……」
南朋は、平然と言ったが、目の内が熱くなって慌てて指で目を抑えた。
こんな、母のたった一言が嬉しいと思うなんて思いもせず、なんだか不思議な安心感に南朋は包まれた。
「ロールキャベツ、美味しかった……」
南朋は涙声がばれないよう、小さな声で言った。
「何十年も作っているんだから当たり前でしょ……」
母の言葉は素っ気ないが、嬉しそうな声だと思った。
「また、作ってよ」
南朋も、なぜか自然とそんな言葉が出てしまった。
「沢山作ったら、お婆ちゃんに届けてもらうわね……」
「たまには、お母さん届けてよ。お茶くらい入れるわよ……」
「そうね……、そのうちにね……」
母の声は微かに涙で枯れていた……
じゃがいもの皮剥く南朋の姿を、母はふと何か気になるように見た。
「南朋、あなた……」
「なに?」
「いいえ。何でも無いわ……」
母が言葉を呑んだ。
南朋は、母の言いたい事が分かった気がしたが、母も南朋もそれ以上何も言わなかった。