ぎゅっと、隣で…… 
 十年後……


 相変わらず、ゆめとサキはちまちまと内職をしている。

 昔より量も減ったが、それでも楽しんでやっていた。


 サキは最近気になる事があって、胸の中がもやもやしていた。


「なあ。ゆめさん……」

「なんだね……」


「南朋ちゃんは、最近どうかね? 彼氏とかおるんかな?」

「えっ? そんな様子は無いが、サキさん暗い顔してどうしたね?」


「どうも優一に女がおるらしい……」


「ええ! まあ、優一君も女おってもおかしくない年じゃでな……」


「それはそうじゃ…… だけど、優一は絶対に南朋ちゃんが好きなんだわ!」


「それは昔の事で、今はどうか?」


「いいや。絶対に南朋ちゃんだ。優一は南朋ちゃんの事になると狂うでなあ…… ただ、きっかけがないだけだと思うんだわ」


「そうかもしれんが、女がおるに南朋がしゃしゃり出るような事があったら、話がややこしくなるんじゃ」


「ややこしくなった方がいいんじゃ」

 サキは、きりっと前を向いて言った。

「そうは言っても、どうすれば……」



『ピンポーン』


 サキが玄関へと向かう。
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