愛が強すぎて転生しました【仮】
こんな朝早くから登校する物好きがこのクラスには私と今宵くらいしかいないので、教室には二人だけだ。

『当たり前。先週の土日には神社行ってお参りしてきた』

その言葉に、今宵がははっと笑う。
「流石は"しょーたん"。愛なら誰にも負けてないってか?」

ハンネで呼ぶな……と言いたいところだが、その通りなので否定しない。とりあえず睨んでおく。

「何だっけ?"どうか今日も可愛い可愛い私の推したちが、健康で危険に脅かされず幸せに暮らせますように。この子達を生んでくださった作者様ありがとうございます"……だっけ?」



『違う、可愛い可愛い私の推したちは大切な人たち。私如きが推したちなんてまとめるの、畏れ多すぎる。この子達をからのくだりはカット。

あとこれが一番大事。作者様じゃなくて神様。私へ美味しい美味しい食物(紙媒体)を惜しげも無く買わせてくださるんだ……はあぁぁぁ今日も推しが尊い』






────そう、周りから「絶世の美女」やら「女神」やら「儚い銀の姫」だの言われ、登校するだけで歓声があがり、世間一般で美少女にカテゴリーされるこの少女は。


なんとも、アニメオタクだったのである。
もっとも、最近ではゲームやラノベ、漫画にコスプレと幅を広げつつあるが……。


「今日も絶賛残念系美少女謳歌してんねぇ…今一番ハマってるやつの名前って」

何だっけ───恐らくそう続けようとした今宵を遮って『夢ら樹』と即答する。


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