好きって言って、ぎゅっとして。
「変な顔してどうしたんだよ?菜乃花」


「入学式早々告白とかありえなくない!?まあ、彼氏いるって言ったら逃げてったけど」


「お前は男にモテるからいいよな。私なんて男じゃないのに女子にモテるんだぞ?」


「あはは……ごめん」


私の目の前に座るのは、私の親友鮎波小雪。
女子にしては長身で、メガネがよく似合っている。中性的な顔立ちをして、髪型はベリーショート、性格は男前というなんとも言えない子である。というより、王子だ。


「まあ、由良川さまさまだよな。あいつがいなきゃ、何回襲われてたかわかんねえぞ?」


「そんな大げさなぁ」


「んなかわいい顔すんなって。困る」


「……ちょっと待って、小雪に惚れそう」


「惚れちゃえば?」


茶番を演じていると、


「ちょっと、鮎波サン。人の彼女取らないでよ」


「凛」


後ろに凛が。


「帰ろうぜ」


「うん。じゃあね、小雪」


「じゃーな。由良川、菜乃花よろしく」


「わかってるよ」


手を振る小雪。
私は凛と下駄箱に向かって歩いていった。
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