キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜

窓からは濃くなったオレンジが射し込み、私達がいる場所を淡く染める。



「会長。寝ちゃったの?」



会長からの返事はない。


会長が私の隣で寝てる。


会長のほっぺをつついてみる。


反応はない。


私はよくリビングのソファーとかで寝ちゃうけど、会長がこんな風に寝るのは珍しいから、何だか新鮮。


さすがに今日は疲れたのかな?


会長も疲れたりするんだな。


思わず、クスリと笑みが零れてくる。


会長が……こんなに近くに感じる……。


何だか無性に甘えたい気持ちになって、私も会長の横にゴロンと横になった。



「……会長、あのね。私、ずっと“こんな学園になんて入りたくなかったのに”って思ってたの。この学園のことが、嫌いだった。いつ辞めてもいいって思ってた」


だから、友達なんていらなかった。


大切なものなんて必要なかった。


例え友達になったとしても、きっと“西園寺家”の名が邪魔をする。


誰も私のことなんてわかってくれるわけがないって、そう思ってた。



「だけどね。私、今日この学園に入って良かったって初めて思った。みんなに出会えてよかったって……」



“わかってくれない”じゃない。


わかってもおうとしてなかったんだ。
< 140 / 184 >

この作品をシェア

pagetop