キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
“やだ”って……っ!
一気に身体中が熱を帯びていく。
少しだけ会長の腕の力が緩んで、ぷはっと顔を上げると。
「……泣き止んだのか?」
「あはは!会長困り顔だ」
「うるさい」
少し頬が赤くなった会長に、ポスッてまた腕の中へと戻された。
子供をあやすみたいに後ろ髪をポンポンッてされて、体の力が抜ける。
会長の体温にホッとする。
「会長……ごめん」
「あ?」
「この間のこと、聞いた。勉強会、私のためだったんだね」
会長が「野々原のヤツか…」と言って、ちっと舌打ちする。
「それなのに私、あんなこと言って……。ごめんなさい。あと、ありがとう」
私を庇ってくれてありがとう。
信じてくれてありがとう。
会長から、そっと体を離す。
「私、頑張るから!絶対に全教科70点、クリアしてみせるよ!」
グッて胸の前でこぶしを作って、二カッて笑って見せる。
すると、会長は一度目を見開いて、すぐに穏やかに笑みを浮かべた。
「頑張れ……とは言わない」
「え!何でよ!」
「お前がここ数日間、頑張ってたのは知ってるからな。頑張ってるヤツに頑張れはおかしいだろ?」
会長の手が、私の後ろ髪をクシャリと撫でる。
それはそれは、優しく目を細めて……。