星夜光、きみのメランコリー
テスト期間をギリギリまで忘れていたあたしが、すんなりと良い点をとれるわけもなかった。
「ウッ………、終わった」
机に並べられた、本日返ってきたテスト用紙たち。赤点はギリギリ免れたけど、なんとも微妙な数字。平均ギリギリのものや、ギリギリ達しないものばかり。
「まぁ、急いで対策したわりには取れてる方なんじゃない?アンタ、頭は元々悪くないもんね」
ピラピラとテスト用紙を指で挟んで揺らしながら、千種は笑った。
67点の色が目の前で悲しそうにあたしの方を見ていた。
「千種はすごいねぇ。ちゃんと計画的にやってさ。ちゃんと平均点以上とってさ。」
「だってあたしは部活が厳しいんだもん。赤点なんか取ろうもんなら、次の試合なんか出られないし。みんな必死よ」
千種はそんなことを言っていたけど、頭が良い。さっきあたしのことを褒めてくれたけど、あたしは平々凡々だ。千種は毎回計画的に勉強してるし、努力家だから。
「それにしてもさあ、テスト終わった途端に進路希望調査出せなんて、こっちの方が気が重いよ。天香、どうするの?」
「……それもあったね…」
部活前のおやつを食べながら、千種は机の中から「進路希望調査票」と書かれた小さな紙を取り出した。
これは、今日担任の先生から渡されたもの。1年生の時も1回だけ書いた覚えがあるけれど、久しぶりに見た。
あの時より、書かなきゃいけない項目が増えている。進路を決める日が、少しずつ近づいているという証だ。