星夜光、きみのメランコリー
“ 天香、どうしたの ”
降り注いでくる色たちに照らされた。温かいのに、なぜか頰を伝うのは冷たい涙。
——人と同じじゃない。
それは別に、あたしが悪いわけじゃない。周りが悪いわけでもない。もちろん、あたしと話してくれる色たちが悪いわけじゃない。
この世界が、悪いわけでもない。
それでもどうして、たまにこんな気持ちになってしまうんだろう。
…色に心が見える。
あたしにしかできないことだったら、それでいいじゃないか。
別に、絵を描くことが好きだったわけじゃない。色たちと触れ合いたいと思ったから描いていたんだ。
だったらもう、泣く必要なんてないじゃないか。
あんな風に連なった名前に、怯える必要なんかないじゃないか。
思わず、目を伏せた。小さく縮こまって、体を丸めた。
…意識をしたら、止まらなくなってしまう。
周りのものは、全て色を持つ。その全てに意識を向けたりなんかしたら、あたしであっても抱えきれなくなってしまう。
聖徳太子状態では済まない。無数の色の心が、入り込んでくる。
入り込んで、話しかけて、それに返事をして、知らぬうちに、あたしの意識は——。
「——天香、」
…あたしの意識は、すべて色に集中して、周りの人たちの世界を崩すんだ。