きみだけに、この歌を歌うよ



カラオケで愁となんども一緒に歌った。



私ははづきちゃんのパート。

愁はいづきくんのパート。



目を合わせて笑いながら、一緒に歌った。

愁との思い出の曲。



「あぁ、あの曲ね。だいたいわかるかな?」



九条くんは頷くと、その10本の指は疾風のように鍵盤をかけ巡った。

目で追いかけることが難しいくらい、細やかにかつ大胆に動く指先。



「え……うま…っ」


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