きみだけに、この歌を歌うよ



「じゃあまた明日ね」

「うん、バイバイ梓」



じゃあ私は……まっすぐ家に帰ろうかな。

私には梓しか友達と呼べる子はいないから。

一緒に帰ったり遊んだりできるのは、梓だけだ。



人見知りをしてしまう私にも、入学したばかりのころはそれなりに友達がいた。

だけどみんな、私と愁が付き合った途端に離れていった。



愁と付き合ったことで、私が杏里ちゃんを中心とした愁のファンの子たちに目をつけられてしまったからだ。

だからみんな、火の粉をかぶりたくないからって私に話しかけてこなくなった。



それは、愁と別れたいまでも、いじめがなくなったいまでも、まだ状況は変わっていない。



< 135 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop