きみだけに、この歌を歌うよ
「あぁ、うん。その2週間くらい前に別れたから」
優乃ちゃんはきっと、私の口からこの言葉を引き出したかったんだろう。
「そうなのぉ⁉ラブラブだったのにね、びっくり‼」
……白々しい。
びっくりだなんて言ってるけど、すべて知ってるんでしょ。
愁が私を捨てて、杏里ちゃんを選んだってことを。
嬉しそうな声だ。
ニコニコ笑ってる優乃ちゃんを見ていると、イライラは増すばかりだ。
「あっ、優乃ーっ!なにしてるの?って、琴野さんと話してたの?」
ムッと唇を尖らせていると、どこからともなく杏里ちゃんが走りよって来た。