きみだけに、この歌を歌うよ
「だーかーらぁ……なんで泣くんだよっ⁉泣かない選曲したんじゃねぇのかよ⁉」
「だって嬉しかったんだもんっ……!私を励ましてくれたんだよね?ありがとうぅっ!」
「いや……まぁ。だからって泣くか?っとに泣き虫だな」
「ほんとは泣き虫なんかじゃないもぉん……」
ぷくっと頬を膨らませ、九条くんから顔を逸らす。
私は泣き虫なんかじゃなかった。
人前で泣いたことなんか、過去にも一度もないんだから。