きみだけに、この歌を歌うよ
「え……九条くん?な、なに……?」
顔が……やけに近い。
あと1歩でも前にでれば、おでことおでこがぶつかってしまいそう。
「俺とキスでもする?ちょっとは寂しさを紛らわせるかもよ?」
「なっ⁉えっ……キスって…!?」
鼻先がふれあうことを避けるように首を傾けた九条くんの顔が、ぐっと近くなる。
「そう。どう?してみる?」
唇に、九条くんの熱い吐息がかかる。
「だっ……ダメダメダメダメだってばぁっ!」
熱したヤカンのように熱い顔を慌てて背けると、九条くんはお腹を抱えて笑いはじめた。