きみだけに、この歌を歌うよ
「いや、うるさいなんてとんでもない!どんどん歌ってくれて大丈夫だからねっ?」
思わず、シャーペンを握る手を止めて聴き入ってしまっていることは言わない。
「まぁなるべく近所迷惑にならないように気をつけるわ」
「ほんとに気にならないから大丈夫だよ。それにしても、休日もずっと海で歌ってるんだね」
「うん。他にやることねぇし」
「ゲームセンター行ったり、カラオケ行ったりしないの?」
「ぜんぜん行かねぇ。海で歌うか、家で曲づくりするくらいだな」