きみだけに、この歌を歌うよ
守る……?
九条くんが、私を?
驚いて顔をあげると、九条くんと目が合った。
「菜々が何も言い返せないなら、俺が変わりに言ってやるよ。だから、周りの目とか噂とかいちいちくだらねぇことばっか気にすんな。そんなことばっか気にしてると日々楽しくないだろ?」
ドキッ、と胸が揺れる。
こんなこと、愁にも言われたことがなかったから。
いや、言われなくて当然か。
だって愁には、睨まれたり悪口を言われたり、私物を隠されていたことは話してないのだから。
愁に心配をかけたくなかったから。
「あっ……ありがとっ!!」
言われ慣れてないことを言われたせいか、なんだか頬が火照ってきた。
……いま、絶対に顔が真っ赤だ。
そう思うと恥ずかしくなってきて、ぱっと顔を俯けた。