きみだけに、この歌を歌うよ
「だから菜々は、そうやって強がらなくてもいいの!辛いときは思いっきり泣きなさい!作り笑いはしないの!」
ぽんぽん、と私の背中を梓が優しく叩いてくれた。
「梓……私ね、やっぱり愁のこと忘れられない」
「うんうん。菜々は愁くんのこと、大好きだったんだもんね?」
どうしても、現実が受け止められない。
愁のとなりに私じゃない誰かがいるなんて、認めたくない。
嫌だ。
そんなの嫌だ。
愁のとなりは私だけ。
私だけにしてよ、愁。