きみだけに、この歌を歌うよ



「わっ、ちょっ……!」



ぐらり、と身体が九条くんの方向へ傾く。

デンモクを眺めていた九条くんにドン、と倒れ込んでしまった。



「うわぁっ、びっくりした!」



咄嗟に、横からぎゅうっと、抱きついてしまったりなんかして…。

目をまん丸くさせている九条くんとほど近くで目があって、慌てて身体を起こした。



「ごごごごめんっ……杏里ちゃんがいきなり押したりするからっ!ほんとにごめんっ!」


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