きみだけに、この歌を歌うよ
「マジでびっくりした…。つーか、大丈夫か?どっか打ってない?」
「だ……大丈夫っ」
「なら良かった」
恥ずかしい……。
わざとではないにしろ、思いっきり抱きついてしまうなんて…。
「ったく、なに考えてんだよ芹澤。危ないから押したりなんかすんなよ。ケガしたらどうすんだ」
「えへへ、当たっちゃったんだってばぁ。ごめんねー九条くん、怒らないで?琴野さんもごめんねー?」
抱きついてしまったときの手の感覚がしばらく消えてくれなくて。
胸のドキドキも、その後しばらく落ち着くことはなかった。