きみだけに、この歌を歌うよ
九条くんと会えなくなる、かぁ。
そんなこと考えてもいなかった。
そういえば、学校案内をしたときに転勤族なんだって教えてくれたんだっけ。
だいたい1年か2年たてば、転校になるんだって。
まだ1年ははじまったばかりだから、九条くんが転校してしまうまで時間はある。
だけど……案外、1年ってあっという間だ。
「お姉ちゃん、今日はお母さんが買ってきてくれたアイスがあるよ~」
「あ……本当?じゃあ食べる」
お風呂からあがり、リビングの赤色の3人がけソファーにドカッと腰をおろした。
「はい、お姉ちゃんどうぞ」
ニコニコしながら私にモナカのアイスを手渡してきたのは、1つ下の妹の菜津(なつ)だ。