きみだけに、この歌を歌うよ
とは言っても、愁への気持ちが完全になくなったわけじゃない。
だからまだまだ辛いけれど。
私は愁への気持ちを、消し去るって決めた。
「……なんか菜々、スッキリした顔してるもんね」
「そうかなぁ?」
「うん。前よりももっともっと、明るく見えるよ」
「へへ……まぁ、明るい性格が唯一の長所だからね。いつまでもメソメソしてられないなって思ったの」
さすが菜々、と私の背中をバシンと叩いた梓はなんだか嬉しそう。