きみだけに、この歌を歌うよ
低い声。
だけど、柔らかくて優しい声。
心にまで染み渡るような、温かみのある声。
まるで冷たくなってしまった心を、じんわりと温めてくれているみたいに。
「みなれた景色のはずなのに。そばにいる、ただそれだけでほら、こんなにも違う…」
意外だ。
九条くんって、こんな一面があったんだ。
「やっと止まったと思ったのに……」
九条くんの歌をしばらく聞いていたら、気づけばまた涙が止まらなくなっていた。