きみだけに、この歌を歌うよ



ちょっと頭を撫でられただけ。

それだけでもう、私の頭の中は九条くんでいっぱいになる。

好きだなって。

気持ちがどんどん膨らんでいく。



「ん……なに?じーっと俺の顔なんか見て…。なんかついてる?」

「いやっ……なにもっ!」



目が合うと、さらに私の胸の鼓動は早くなる。

ダメだ…。

ちゃんと目を合わせていられないくらい、九条くんのことを意識してしまう。



そんな私はもう、愁の好きな人が誰なのかってことは完全に頭の中から消えていた。



< 331 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop