きみだけに、この歌を歌うよ
ちょっと頭を撫でられただけ。
それだけでもう、私の頭の中は九条くんでいっぱいになる。
好きだなって。
気持ちがどんどん膨らんでいく。
「ん……なに?じーっと俺の顔なんか見て…。なんかついてる?」
「いやっ……なにもっ!」
目が合うと、さらに私の胸の鼓動は早くなる。
ダメだ…。
ちゃんと目を合わせていられないくらい、九条くんのことを意識してしまう。
そんな私はもう、愁の好きな人が誰なのかってことは完全に頭の中から消えていた。